[手術をすれば良くなります!」 という言葉を信じて手術を決断したけれど、痛みは楽にならない、逆に悪くなったと言う人もたくさんいらっしゃると思います。
私の所には、実際に手術しても痛みが解決しなくて来られる方もたくさん来院します。
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ヘルニアの手術を4回も繰り返した40代男性
土木工事の監督をしている40代男性の話です。腰痛で思うように仕事ができなくなり、市立病院で検査をするとヘルニアと言われました。病院の勧めですぐに手術を決断しましたが、手術後も痛みは一向に治まりません。
本人は手術でヘルニアが解決すれば痛みもなくなると信じていました。 痛みがなくならないのは手術がうまく行っていないせいだと思い再度手術をお願いしました。
しかし2回目の手術でも痛みは楽になりません。3回目の手術をお願いしました。それでも良くなりません。病院に懇願し、4回目の手術後をお願いし、病院からは「これ以上手術はできません」と言われたそうです。

4回目の手術後…男性はベッドから起き上がることすらできなくなってしまいました。 インターネットで検索しているうちに私のことを知り、すがる思いで予約の電話をくれたのです。
男性は翌日、介護タクシーでストレッチャーに乗って来院しました。痛くて動くこともできない状態だったので、仕方なくストレッチャーに乗ったまま施術することにしました。 痛い所を確認すると広範囲に痛んでいて、単なるヘルニアの問題でないことが分りました。(痛みは下写真のような状態でした)

施術すると何とか動ける状態になりました。「とにかく早く仕事ができるようにして欲しい」という本人の希望で、その後1日置きに施術を繰り返し、2週間後には普通に仕事ができるまで回復したのです。
担当医師が言った「手術して良くなる確率は30%」
ある日、地元で整形外科の評判が最も高い病院に行ってきた方が来院しました。 「ヘルニアと診断されましたが、1年先まで手術の予定が入っていてすぐに入院できないと言われました」「この痛みを1年先まで我慢できません」 とのこと。
患者さんが、手術担当のドクターと色々話してきたというので「どんな話をしてきたんですか?」と聞いてみました。すると…
「〇〇さん、手術して治る確率は30%です。今と変わらない確率は40%です。今よりもっと悪くなる確率は30%です」「手術しても70%は今と変わらないか悪くなるなるので、私は手術を勧めません」 と説明されたそうです。

私はそのドクターは正直で素晴らしい人だと思いました。昔、私は国立大学の医学部で医者の研究助手みたいな仕事をしていました。そして手術をしても半分以上は良くならない現実を見て知っていたからです。
でも、「手術をしても良くなりません」というドクターはまれです。病院も商売ですから、そんなことを言ったら手術を希望する人は減ってしまいます。大きな病院になればなるほど、手術しなければ売り上げを達成することはできません。手術担当の医師には高額の給料が出ると同時に、年間の予算もあるからです。
どうして手術をしても痛みが解決しないのか?
痛みはヘルニアや狭窄症といった骨や神経の問題で起こるのではなく、筋肉の問題で起こっているからです。
そういうことを言うと、ほとんどの人は「ウソだろ!」と言うかもしれません。 「痛みは骨がすり減っているのが原因です」「痛みは神経が圧迫されて起こります」という説明を私達は信じ込んでいるからです。
昔昔、人は「空がまわっている」と信じていました。天動説です。「本当は地球がまわっている」などと言うと刑務所に入れられ罰せられました。
それと同じようなことが、今これほど進歩した医学の世界でも起こっています。何を根拠に「痛みは筋肉が原因」というのか?説明します。 けして私が勝手に言っている訳ではありません。実は医師の卵たちも講義で「痛みは筋肉が原因」と習っているのです。
痛みのメカニズムを知らない医師
私は昔、国立大学の医学部で仕事をしていた時、 手術しても痛みが良くならない人がいっぱいいる現実を知りました。「痛みの原因は手術で解決しているはずなのにどうして痛みが取れないんだろう?」と疑問を持ちました。
それで図書館に行って「痛みとは何か?」「痛みはどうして起こるのか?」調べたことがあります。 痛みのメカニズム(痛みが起こる仕組み)は生理学(生命の仕組み)だと分り、関連する本を読むと、そこに痛みは筋肉の問題と書いてあったのです。
ですから、ドクターはちゃんと生理学の「痛みのメカニズム」で、『痛みは筋肉に起こる』と学んでいるのになぜ骨とか神経の問題にしてしまうのか理解できませんでした。
私の施術は患者さんの体に触れて、実際に痛い所を探すのが基本なので「あ~、ここの筋肉が痛んでいるんだな…」と分ります。ですから10年以上前から痛みは筋肉が原因で起きていると確信していました。
実際に痛い所を確認すればすぐに分かる事なので、「医師がこんなこと分からないはずがない」「もしかしたら、私が間違っているのだろうか?」と長年思っていました。
その疑問が加茂整形外科医院院長の加茂淳先生の著書『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』という本を読んでやっと解決できました。やっぱり医師は分っていなかったのです。加茂先生の本にはこのように書いてあります。
「痛みのメカニズムを知らない医師」
石川県にある加茂整形外科医院院長の加茂淳先生の著書『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』から一部抜粋
腰痛など筋骨格系の痛みのほとんどは、 筋肉のけいれんからくる「筋痛症」が原因です。 簡単に言うと、 筋肉の痛みです。 ところが、 医師の卵は、その肝心な 筋肉の生理学や病態についてはほとんど習わない のです。なぜか 現代医学から「筋肉」がすっぽり抜け落ちてしまっています。
いまの医学教育では、「痛みのメカニズム」については、基礎医学の生理学で 臨床の勉強を始める前にちょっと習うだけで、医師になる頃にはすっかり忘れている のが現状だと思います。
つまり、 痛みのメカニズムを忘れてしまった医師が、習ったことがない筋肉の病態を診ている のです。そして、 レントゲンやMRIや関節鏡で見える「骨格異常」が痛みの原因だと教えられ、疑うこともせず、そう思い込んでいる のではないでしょうか。
ドクターの卵たちは、「痛みのメカニズム」ついてほとんど習っていないに等しいのです。それで医療の現場に出てから先輩に「神経が圧迫されるのが痛みの原因だ」と教えられ、全く疑うこともなく診断している というのが現実のようです。
その背景には、 筋肉はレントゲンやMRIをで検査しても写らない、 そして 現代医学には「筋肉科」がない 為に、 筋肉のことを研究しているドクターもほとんどいない、 さらに 整形外科のドクターはレントゲン画像だけ見て、体を見ない という現実があるように思います。
「神経が圧迫されて痛い」も誤解
整形外科の痛みに関する説明の根本は 「神経が圧迫されているから痛みが起こる」 という事です。しかしこれも少し医学を勉強すると誤解だと分ります。
現代医学で「痛みのメカニズム」(痛みが起こる仕組み)については生理学で学ぶ内容です。 その生理学で神経の働きについてどう書いてあるか紹介します。これは医師の卵たちも実際に講義で習う内容です。
「痛みというのは通常、 神経線維の先端についている痛みセンサーだけがキャッチします。痛みセンサーが電気信号を伝えてはじめて、痛みが感知される のです。 神経の途中で痛みが発生したり感知されることはありません。 」
石川県にある加茂整形外科医院院長の加茂淳先生の著書『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』から一部抜粋

上図(神経の仕組み)をみると分りますが、 神経の先端には感覚受容器というセンサーが付いています。このセンサーが痛みの電気信号をキャッチすると、脳に伝わって痛みを感じます。
神経の途中にはこのセンサーがないので、圧迫されたりしても痛みを感じるという事はないというのが生理学(生命の仕組み)における医学の常識 になります。
通常のセンサーと同じ仕組みです。センサーはその先端で情報をキャッチすると情報がモニターに送られ、画像として見たりできます。 途中の線を足で強く踏んだとしても、センサーが働くことはありません。何も起こりません。
神経もセンサーと同じような仕組みになっています。ですから 神経の途中が圧迫され痛みが起こるという説明は、医学部で教えている生理学の生命の仕組みと全く矛盾していることになります。
手術して治らない人の事例
手術しても痛みが治らない事例1

手術しても痛みが治らない事例2

手術で骨や神経が圧迫されている問題は治す事ができます。しかし、骨が良くなってなっても筋肉の損傷はそのまま変わりません。筋肉の損傷はレントゲンやMRIでも分らないし、手術や薬では解決できません。そもそも今の医学に「筋肉科」がないので、分かるドクターもほとんどいないというのが現実です。
そのような現代医学の現実が、手術しても良くならないという患者さんがたくさんいらしゃる状況になっています。