膝の痛みは、多くの人が経験する悩みです。
その原因は様々ですが、正しい対処法を知っていれば症状を和らげることができます。
この記事では、膝痛の原因と即効で改善するための治療法について詳しく解説します。
膝痛の原因を知ろう
膝痛は加齢による変形性膝関節症?
膝痛は加齢に伴い膝の軟骨がすり減り骨と骨が直接摩擦を起こすことで、痛みや腫れが生じるとよく言われます。
しかし生理学(生命の仕組み)では、痛みと言うのは一種の電気現象で、神経が脳に痛みの電気信号を伝えると痛みを認識するとあります。
医学の基本として痛みは神経に関係する問題です。
「骨と骨が直接摩擦を起こすことで痛みが生じる」という学説にはいくつか矛盾があります。
一つ目の矛盾は、骨そのものには神経が通っていないことです。
ですから骨が痛いと言う理屈はおかしいことになります。
二つ目の矛盾は、すり減った骨と骨の間に神経があって、その神経が圧迫されて痛みが起こることが考えられますが、都合良く骨と骨の間を通っている神経もありません。
レントゲンで分かることです。
私は昔、国立大学の医学部でドクターの研究助手をしていたことがあり、学生の講義用の資料を作るため、ドクターと一緒に手術室に入ることがよくありました。
生まれて初めて手術を見た時、ドクターが患者さんの骨をガンガン削るのを見て「ガンガン骨を削って痛くないですか?」とドクターに尋ねました。
するとドクターは「長岡君、骨に神経がないから削っても痛いことはないんだよ」と教えてくれました。
三つ目の矛盾は私が20年で1,000人以上の膝痛の患者さんを見て分かったことです。
「膝の軟骨がすり減り骨と骨が直接摩擦を起こす」のであれば、膝の皿の中に痛みが起こることになりますが、1,000人以上の膝痛患者さんに「どこが痛いですが?」と聞くと、膝の皿の中という人は1人もいませんでした。
一番多いのが「膝の内側」で、次に「膝の外側」「皿の上」「皿の下」「膝の裏側」でした。
実際にその痛いところを手で触って確認すると全て膝周りの腱や筋肉でした。
ですから膝痛の原因は骨がすり減った問題ではなく、膝周りにある筋肉が痛んでいる状態なのです。
免疫学で有名な新潟大学医学部の安保徹先生(故人)は、痛みは体の声であると言います。
痛みは体から「問題が起きているよ!」と教えている警告だと言うことです。
ただ長年使用すれば骨がすり減ることは間違いありません。
膝に限らず腰や肩などよく使う関節部分ほどすり減ります。
軟骨は一度すり減ると元に戻ることは難しく、進行すると動きが悪くなることもあります。
骨がすり減った状態を「変形性膝関節症」と言いますが、「○○症」というのはその状態を言っているので病気ではありません。
「膝関節が変形した状態」と言っているだけで、痛みの原因と言っている訳ではありません。
変形性膝関節症は加齢以外にも、肥満や過度な運動、遺伝的な要因などが影響するとされていますが、年齢を重ねるにつれて当然発症率が高くなることが知られています。
これは老化と関係しています。
厚生労働省の調査によると、60歳以上の約3人に1人が変形性膝関節症だとされています。
しかし、変形性膝関節症の人全員が膝痛と言うわけではありません。
何故かというと、膝痛の原因は「変形性膝関節症」ではなく「膝筋痛症」が本当の原因だからです。
変形性膝関節症の具体的な症状として、膝の痛み、腫れ、こわばり、可動域の制限などが挙げられますが、骨が痛い、骨が腫れる、骨がこわばる というのはどう考えてもおかしいです。
軟骨がすり減ると動きが悪くなるので可動域が制限されることは当然あります。
膝周りの筋肉が損傷が進行すると、筋肉が伸びたり縮んだりできなくなるので痛みが起こり歩行が困難になる場合もあります。
運動やスポーツによる負担
激しい運動やスポーツ活動も、膝関節や筋肉に大きな負担をかけます。
特にランニングやジャンプ、スクワットなどの動作は膝への衝撃が大きいため注意が必要です。
また同じ動作を繰り返すことも膝関節と筋肉への負担となり、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。
例えば、バスケットボールやサッカー、バレーボールなど膝に大きな負担のかかるスポーツを長年続けている人は膝痛を発症するリスクが高くなるとされています。
スポーツ選手だけでなく、日常生活において膝に負担のかかる運動や動作は避けるべきです。
また激しい運動や動作をした後は、膝の筋肉疲労をケアすることも大切です。
膝痛の主な症状
膝の周囲には下図のように、様々な筋肉や腱、靱帯があります。
これらの筋肉・腱・靱帯があるから膝を曲げたり伸ばしたりできるわけです。
膝が痛い場合は「変形性膝関節症」という骨の問題ではなく、これらの筋肉・腱・靱帯等が痛んでいると考えられます。(多くはレントゲンに写りません)
膝の内側の痛み
下の写真は膝の内側が痛いと言う患者さんが実際にどこが痛いのか、パッチを貼って確認した写真です。
この写真で分かることは、膝の内側が痛む場合は「内側広筋」や「内側側副靭帯」が痛んでいる可能性が高いということです。
「内側広筋」は歩く時に足を前に振り出したりボールをけったりする時に使う筋肉で、階段の上り下りの時などに膝の内側に痛みを感じるようになります。
「内側側副靭帯」は膝関節の内側を安定させる役割を担っており、損傷すると膝が不安定になり痛みや腫れが生じます。
膝の外側の痛み
下の写真は膝の外側が痛いと言う患者さんが、実際にどこが痛いのかパッチを貼って確認した写真です。
膝の外側が痛む場合は、「外側広筋」や「外側側副靭帯」「腸脛靭帯」等が痛んでいる可能性が高いです。
「外側広筋」は足を前に振り出す動作やボールをける時に使う筋肉で、膝の外側に痛み顔小手力が入らず歩行も困難になります。
「外側側副靭帯」は膝関節の外側を安定させる役割を担っており、損傷すると膝が不安定になり痛みや腫れが生じます。
「腸脛靭帯」は大腿骨の外側から膝蓋骨の外側にかけて走行する靭帯で、損傷すると膝を曲げ伸ばしする際に痛みが出ることがあります。
「外側広筋」の損傷は老化や筋肉疲労でも起こります。
膝の内側を押圧すると実際に痛んでいるのが自分でも分かります。
「外側側副靭帯」の損傷は、スポーツ活動によって起こることが多いです。
サッカーやラグビーなどの接触プレー中に膝の外側に強い衝撃を受けた場合などが挙げられます。
一方「腸脛靭帯」の損傷は、長時間の歩行や立ち仕事ランニングなどの反復的な動作によって起こることがあります。
膝皿上部の痛み
次の写真は膝の上部(皿の上)が痛いと言う患者さんが、実際にどこが痛いのかパッチを貼って確認した写真です。
膝の上部が痛む場合は、「大腿直筋」や「大腿四頭筋腱」が痛んでいる可能性が高いです。
「大腿直筋」は足を前に振り出したりボールをけったりする時中心になる筋肉です。
この筋肉が痛むと力が入らなくて、足を前に降り出すことができなくなります。
「大腿四頭筋腱」は特にスポーツで強い衝撃がかかる膝上部分の腱です。
「ジャンパー膝」は「大腿四頭筋腱」または「膝蓋腱」の使いすぎによる炎症で、ジャンプ・着地、走る・止まるなどの急激な動作を繰り返すスポーツ外傷ではよく知られた疾患です。
膝皿下側の痛み
次の写真は膝の下部(皿の下部分)が痛いと言う患者さんが、実際にどこが痛いのかパッチを貼って確認した写真です。
膝の下部が痛む場合は、「膝蓋靱帯」や「鷲足腱」「腸脛靱帯」などが痛んでいる可能性が高いです。
「膝蓋靱帯」の主な役割は脚を伸ばす動作、特に歩行やジャンプ等の活動において非常に重要です。
膝を伸ばす際、筋肉が収縮しその力が膝蓋腱を通じて脛骨に伝わることで脚が伸展します。
これにより、人が移動したり物を持ち上げたりする際の力の伝達が可能になります。
膝蓋腱は非常に強靭で通常は外的な力に対して耐えることができますが、過度の負荷や繰り返しのストレスにさらされると、損傷を受けることがあります。
このような損傷が膝蓋腱断裂です。
「鷲足腱」「腸脛靱帯」も膝に強い衝撃を受けたり、ランニング・ジャンプなどの運動を繰り返し行うことで、負担がかかり炎症が起こります。
膝下が重く感じる症状は、日常生活に支障をきたす可能性があります。
例えば階段の上り下りや立ち上がりが困難になったり、歩くのが辛くなったりするケースも少なくありません。
この症状を放置すると、膝の痛みが悪化する可能性もあるため、早めに対処することが重要です。
即効性のある膝痛の治し方
適切なストレッチと運動
膝痛を改善するためには、適切なストレッチと運動も重要です。
ストレッチは膝周りの筋肉を柔軟にすることで、関節への負担を軽減、痛みを和らげる効果があります。
運動は筋肉を強化することで、関節を安定させ痛みを予防する効果があります。
ただし痛みがある場合は無理せず、軽い運動から始め徐々に負荷を上げていくようにしましょう。
ストレッチや運動を行う際には、専門家の指導を受けることをお勧めします。
無理な運動は、かえって膝を痛める可能性があるため注意が必要です。
補助的なサポーターの活用
膝痛の症状を軽減するために、サポーターを使用することも有効です。
サポーターは膝関節をサポートし安定させることで、痛みを和らげたり運動時の負担を軽減したりする効果があります。
ただしサポーターはあくまでも補助的なものであり、根本的な治療ではありません。
適切なサイズを選び使用方法を守って使用しましょう。
市販されている膝サポーターには様々な種類があります。
自分の膝の状態や用途に合わせて適切なサポーターを選びましょう。
例えば軽い運動や日常生活での使用に適したサポーターやスポーツ活動に特化したサポーターなどがあります。
自宅でできる細胞活性療法
膝痛の原因は筋肉であることが生理学で分かっています。
しかし筋肉はレントゲンに写りません。
そして今の医学には「筋肉科」がないのでレントゲンに写った骨の問題が膝痛の原因になってしまいす。
仕事やスポーツで膝を酷使すると、自律神経が血管を収縮させるので筋肉に十分な栄養や酸素が供給されなくなり、その結果細胞が破壊されるのです。
なぜ細胞が破壊されてしまうかというと、活性酸素が関係しています。
生理学的の視点から痛んだ細胞を回復させる方法が「細胞活性療法(細胞還元療法とも言います)」です。
医療と言うより「化学を応用した方法」と言った方が正しいかも知れません。
シートを痛いところに貼るだけなので、誰でも自宅で簡単に試すことができすぐに効果が分かる今までに無い画期的方法です。
日常生活での膝痛対策
無理な姿勢を避ける
長時間同じ姿勢での作業や、足を組む習慣などは膝関節への負担が大きくなります。
無理な姿勢を避けこまめな休憩を挟むようにしましょう。
また椅子に座るときは背もたれに寄りかかり膝が腰より高くならないように注意しましょう。
長時間同じ姿勢での作業を行う場合は、定期的に立ち上がってストレッチをするなど工夫を取り入れることが大切です。
また足の組む癖がある人は意識して足を組まないようにしましょう。
足の組む癖は骨盤の歪みにもつながり、膝への負担を増大させる可能性があります。
正しい歩き方を心がける
できるだけ膝に負担をかけない歩き方を意識することが大切です。
歩行時はかかとから着地しつま先で蹴り出すようにしましょう。
また、歩幅を小さくしゆっくりと歩くように心がけましょう。
さらに体重を分散させるために杖を使用することも有効です。
正しい歩き方をすることで、膝への負担を軽減し痛みを予防することができます。
歩く際には、地面をしっかりと踏みしめるように意識しましょう。
また歩幅を小さくすることで膝にかかる衝撃を減らすことができます。
杖は体重を分散させるだけでなく、バランスを保つ効果もあります。
杖を使用することも膝への負担を軽減し、安定した歩行をサポートすることができます。
まとめ
膝痛の原因は様々で、加齢による変形性膝関節症、運動やスポーツによる負担、日常生活での無理な姿勢など様々な要因が考えられます。
膝の痛みを放置すると、日常生活に支障をきたすだけでなく症状が悪化する可能性もあります。
早期に適切な治療を受けることが大切です。
本記事では膝痛の原因と即効性のある治し方について解説しました。
膝の痛みを感じたらまずは原因を特定し適切な対策を講じましょう。
痛みが続く場合は、医療機関を受診し専門医に相談することをお勧めします。