痛みのメカニズム(生理学)

医学部で知った現代医学の現実

私は昔、文部技官という国家公務員に採用され国立大学の医学部でドクターと一緒に仕事をしていました。

研究論文の実験を手伝いデーターをまとめたり、手術室に入って写真を撮り学生の講義用の資料を作ったり、ドクターの裏方の仕事をしていました。

その頃「おかしいな~」と思った事があります。

それは例えば腰痛で病院に行き原因が「ヘルニア」と診断されたとします。

そして手術は成功しヘルニアは完全に解決しました。

しかし痛みは今までと同じか逆に悪くなったりするケースもすごく多い現実でした。

膝痛などの場合も同じです

「変形性膝関節症」(軟骨がすり減っている)が膝痛の原因と言われ、手術して軟骨がすり減ってぶつかる状態は改善したのに、痛みは以前のままというケースも多々起こります

ですからドクターも手術前に「ヘルニアを治します」とか「膝のすり減った状態を治します」とは言いますが「手術をすると痛みがなくなります!」とはたぶん約束しないと思います。

もし本当に骨や神経の問題が痛みの原因であれば、手術して痛みの原因が解決すれば、100%痛みもなくなるはずです。

しかし私が医学部で見た現実はそうでありませんでした。

痛みの本当の原因は?

私は機械工学が専門なので考え方がエンジニア的です。

機械が故障したらどこに原因があるのか、部品などのハード的な問題なのかプログラムなどのソフト的な問題なのか原因を徹底的に調べて解決します。

ですから人の体と機械の違いはあっても、基本的な考え方は一緒です。

機械の場合、原因が分ってそこの部分を直せば正常に動くようになります。

しかし医学の世界ではそうならないケースが非常に多いのです。

そのことを知ってから、「痛みとは何か?」「痛みはどうして起こるのか?」について医学部の図書館に行って勉強しました。

機械が修理後も正常に動かない場合は、まだどっかに問題が残っているからです。

「まだどこかに別の原因があるはず…」技術者はそう考えます。

ですから人の場合も、もしかしたら痛みの本当の原因が別にあるのではないかと思いました。

勉強して分ったことは、医学部で痛みが起こるメカニズムについての勉強は整形外科ではなく生理学だという事でした。

つまり整形外科的な問題ではなく、生命の仕組みの問題で痛みは起こることに現代医学ではなっているのです。

基礎医学の生理学の教科書にどう書いてあるかご紹介します。

石川県にある加茂整形外科医院院長の加茂淳先生の『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』という著書に分り易く解説されていますので抜粋してご紹介します。 

加茂整形外科医院院長の加茂淳先生

加茂整形外科医院院長の加茂淳先生

腰痛の本ですが、膝痛や首肩痛など色々な体の痛みに関して基本的な考え方は同じです。

痛みのメカニズム(生理学)

痛みのメカニズム

患部が継続して大きな刺激を受けると、脳はその刺激を受けて自律神経の交換神経が緊張します。

交感神経が緊張すると血管が収縮しその結果血流が悪くなり筋肉細胞に十分な血液が行かなくなり酸欠状態になります。

筋肉細胞が正常に機能するために酸素は必要不可欠なものなので、酸欠状態は危機的な状況になります。

この危機的状況に反応して、血漿からブラジキニンという痛み物質が発生します。

このブラジキニンが知覚神経の先端に付いている「ポリダーマル侵害受容器」(痛みセンサー)にぶつかると痛みの電気信号が発生し、神経を通して脳に伝わると痛みを感じるようになります。

少し難しいかも知れませんが、これが現代医学の生理学で分っている痛みが起こる仕組みになっています。

痛みが起こるメカニズムの重要ポイント

① 痛みは骨がすり減って起こる問題でも神経が圧迫されて起こる問題でもなく、筋肉細胞で起こる問題だと言うことです。

レントゲン検査では骨の状態しか分からない

レントゲン検査では骨の状態しか分からない

② 神経はセンサーの役割をしていて、痛みの電気的な信号を脳に伝える役割をしているということです。

ですから良く聞く『神経が痛い』という話はおかしいことになります。

神経が痛いのではなく神経は痛みを伝える機能と言うのが医学では常識です。

神経のメカニズム

神経のメカニズム

③ 痛みは細胞が危険な状態にある事を知らせるための電気信号だと言うことです。

まとめると、痛みは筋肉に問題が起こっていることを知らせるために発生する電気信号を、神経のセンサーがキャッチして脳に伝えると痛みとして感じるということです。

どうしたら痛みを解決できるか?

整形外科に行ってヘルニアや狭窄症と言った骨格上の問題が解決しても、痛みが解決しない理由がお分かり頂けたでしょうか?

骨の問題は解決しても、筋肉の問題は解決していないから痛みは良くならないのです。

腰痛の原因を確認した資料

腰痛の原因を確認した資料



実際に痛い部分を調べると(シールを貼った部分)筋肉が痛んでいると分かります。

しかし、今の医学では患者さんのどこが痛いか丁寧に調べたりすることはありません。

私達の体は骨や皮膚、筋肉など色々なパーツの集合体ですが、60兆個の細胞の集まりです。

ですから基本的に痛みは細胞が損傷して起こることにまちがいはありません。

ただ細胞の損傷状態を確認することは今の医学でもまだできません。

ノーベル賞の山中教授が細胞の研究から万能細胞を発見して医学が大きく変わったように、細胞レベルから痛みの原因を知る必要があります。

「どうしたら、痛みを解決できるのか?」エンジニアが考えついたのは『電気信号が起こらなくなれば、痛みも起こらないのではないか?』という事でした。

それでなぜ痛みの電気信号が起こるのか?色々な文献を読んで調べました。

その結果、細胞と痛みの関係について重要なヒントを得ました。

痛みが発生する仕組みについて詳しく解説

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